シェルリード線への想い
アナログレコードへの愛
私にとってアナログレコードは、学生時代には高価な宝物であり、20代、30代、40代、50代と、人生のそれぞれの時代を共に歩んできたかけがえのない存在です。 テレビやラジオ、CDとも異なる唯一無二の魅力を持つレコード。 針を落とせば、その時々に聴いた曲や当時の思い出、情景が混然一体となって鮮やかに浮かび上がってきます。 「この素晴らしいアナログの世界を、これからもずっと皆様と一緒に歩んでいきたい」 それが、当工房のすべての原点です。


「職人の技術」をお届けする
かつて私は、自らの主観(耳)による音決めと、第三者の客観的な耳との間で、どうあるべきか大きな葛藤を抱えていました。 その中で辿り着いたひとつの真実があります。 「お客様は、制作者の耳(主観)を買っているのではない。磨き上げられた職人の『技術』を買ってくださっているのだ」ということです。 この答えを自分の中でストンと受け入れられたとき、製品レベルは一気に飛躍し、現在では胸を張ってお客様に最高の製品をお届けできるようになりました。
支えてくださった皆様への感謝を胸に
工房を設立する前、ヤフーオークションに出品していた初期の時代から、15年以上にわたり製品を作り続けてまいりました。 ここまで歩んでこられたのは、ひとえにご購入いただいた皆様が寄せてくださる「喜びのメッセージやメール」があったからです。 あの温かい励ましこそが、私の何よりの原動力です。 皆様への感謝の想いを絶対に忘れることなく、これからも一つひとつの製品に心を込め、手作業で大切に作り上げてお届けします。

開発の経緯
自分が本当に欲しいリード線が、市場から消えてしまった
私は、かつてヘルメットを被り、ペンチとドライバーを下げてエレベーターの電源工事をメインに行う「電気工事士」でした。 無類のアナログカートリッジ愛好家であり、50個ほどをコレクションする中で、手頃な価格の「普通のOFC(無酸素銅)リード線」を求めていました。 しかし、21世紀が始まる少し前、CDの急速な普及によってアナログ市場が衰退期に入ると、お望みのお手頃なOFCリード線は市場から姿を消してしまいました。 「気に入ったものが手に入らないなら、自分で作ってやろう」 そう一念発起し、市販の切り売り配線材を購入して自作に挑戦したのが、当工房のルーツです。


挫折と、伝説的なハンダ技術との出会い
極小のシェルリード線へのハンダ付けは想像を絶する難しさでした。 5セット分の材料を買い込んでも、まともに繋がるのは1セットあるかどうか。 見栄えも悪く、大切なカートリッジにとても装着できる状態ではありませんでした。 そんなある日、長岡鉄男先生のファンクラブ「ミューズの箱舟」のスピーカー製作企画に参加した際、元フォステクスの笠尾氏が披露した極めて見事なハンダ付け技術を目にする機会を得ました。 その流れるような職人技に「このやり方なら自分にもできるかもしれない」と大きな衝撃を受けました。 自宅に戻った私は必死に練習を重ねて技術を習得し、さらに「他と同じものを作るのは面白くない」と、スピーカーケーブルをばらして太い線を撚り直すなど、独自の工夫を重ねていきました。 こうして完成した独自のリード線を出品したところ、落札者様から絶賛のメールを数多くいただくようになり、確信を持って専門工房の設立へと至ったのです。
技術と特長
極限の「導体削り」と「鏡面仕上げ」
最高の音を得るために、私たちはハンダを載せる導体接合面(接点)を限界まで精密に削り上げます。 そのための刃物も、精密ナイフから手術用メス、そして自身で研ぎ澄ました彫刻刀(鋼の「KS-Remasta No.4 / No.5」など)へと進化を続けてきました。 「最上の音を得るなら、わずか1本の芯線を削るだけで刃物を研ぎ直さねばならない」 そんな刀鍛冶を思わせるストイックな職人の境地を実践し、人造砥石と天然砥石(アルカンサス天然砥石など)を組み合わせた「計10段研ぎ」により、刃先を極限まで研ぎ澄ましています。 さらに、単線導体の表面は、50種〜150種以上もの膨大なコンパウンドを段階的に使い分け、モデルに応じて最終仕上げ30000番から60000番に達する超精密鏡面磨きを施すことで、歪みを劇的に減少させ、圧倒的な情報量と雑味のない澄み切った音場を引き出します。


厳選されたハンダ素材と、たゆまぬ結合技術の探究
1940〜50年代の希少なヴィンテージハンダ(ダッチボーイ社製など)や鉛フリーハンダなど、長年のノウハウから導き出した最適な素材を厳選。 さらに、厳選した「天然松ヤニ(VK)」などを自社ブレンドした、独自のオリジナルハンダやフラックス技術を確立しています。 チップと導体の結合には、独自の「低周波バイブレーションハンダコテ」を採用し、強固かつ信号ロスのない確実な接合を実現。 ハンダの配合や接合技術自体も毎年歳々向上し続けており、同じモデルであっても数年後に再購入されたお客様から「明らかに音がさらに進化している」と驚きをもって評価されています。
音楽評論家・佐藤泰典先生との「音決め」連携
当工房の製品は、制作者一人の主観のみで音を決定することはありません。 生演奏にいかに近いかという「普遍的な音」を正確に聴き分けられる音楽評論家・佐藤泰典先生に判定と音決めを依頼しています。 確かな耳を持つスペシャリストと連携することで、ノイズがすっと消え去り、音楽の本質が美しく宿る確かな製品を、自信を持って皆様にお届けしています。


あらゆる素材のポテンシャルを最高に引き出す
高純度OFC(6N, 7N, 8N)、クライオ処理、PC-TripleCやPC-TripleC/EX、そして1910〜60年代の希少なヴィンテージワイヤー(ブラックエナメル、絹巻き、WE製など)まで、私たちは多様な素材をラインアップ。 それぞれの素材が持つ独自のキャラクターを「極限の磨き」と「独自のハンダ結合」で最高に引き出し、お客様の好みのジャンルやシステムに寄り添います。
商品ラインアップ
お客様のシステムや、お好みの音楽ジャンルに合わせて選びやすいよう、多様なシリーズを展開しています。

Stage(ステージ)シリーズ
- 特長
- 海外製高純度OFC 0.6mm単線を使用。段階的に丁寧に磨き上げる鏡面加工導体モデル(「Stage121EVO.I」からハイエンドの「Stage621EVO.I-VK」まで展開)。
- 音質
- 非常に高い解像度、クリアで広大な音場。ワイドレンジかつハイスピードで、現代オーディオのポテンシャルをフルに引き出します。

VWS(ヴィンテージワイヤー&ソルダー)シリーズ
- 特長
- 1910〜1960年代の貴重なヴィンテージワイヤーと、厳選されたヴィンテージハンダを使用するシリーズ。
- 音質
- 独特の豊かなコクと美しい陰影、どっしりとした音像の実体感。温かみや生々しい空気感をまとい、古い録音はもちろん、優秀録音盤の新たなディテールをも浮かび上がらせます。

LW(リードワイヤー)シリーズ(ベーシック・スタンダード)
- 特長
- 数千円〜1万円台前半とお求めやすい価格ながら、付属リード線とは別次元の圧倒的なS/N向上を体験できる人気高CPシリーズ。
- 音質
- ストレートで力強いOFC単線、明るくピントの合うPC-TripleC、落ち着きと抜けの良さを誇るPC-TripleC/EXなど、多彩なキャラクターから選べます。

モノラル(DL-102など)用二股リード線
- 特長
- デノンDL-102などのモノラルカートリッジを、ステレオ用のヘッドシェルに装着して鳴らせる独自のY字二股仕様。
- 音質
- 帯域バランスが整い、ボーカルやオケが目の前に逞しく立ち上がるような、モノ盤本来の驚異的な立体感と温かみを引き出します。

フォノ&RCAインターコネクトケーブル
- 特長
- 自社シェルリード線の実力を100%発揮させるために開発。ベルデン製フッ素樹脂絶縁ケーブルと、職人ならではのハンダ・プラグ処理を融合させた特製ハンドメイドケーブルです。
- 音質
オーダー対応・
アフターフォロー
手作りの専門工房だからこそ、お客様の再生システムやご要望に合わせた柔軟なカスタムオーダーに同一価格で対応いたします。
長さ変更の柔軟なカスタマイズ
- 標準品の全長(約37mm、42mm、43mm等)だけでなく、お客様のご要望に合わせて「全長100mmまで同一価格」で変更・受注製作いたします。
- MITCHAKU-Zシェル用の85mmや、DL-102モノラル二股用などの特殊な長さ変更も承ります。


チップ(端子)サイズのカスタム指定
- シェルチップには優れた導電性を持つ金メッキリン(燐)青銅を使用。
- 標準サイズはシェル側1.0mm/カートリッジ側1.2mm(テーパー加工)ですが、お手持ちの機器に合わせて、「シェル側1.2mm」へのサイズ変更なども同一価格で柔軟に受注製作いたします。
お困りごとの個別相談窓口
「自分のシステムや好みの音楽ジャンルにはどのリード線が合うか」「取り付け方法がわからない」など、迷われた際は、いつでも工房へ直接お気軽にお電話・ご相談ください。職人が丁寧に対応いたします。
